
この奇妙な短編集の前書きで著者は、「過去に僕の身に起こった幾つかの不思議な出来事について、じかに語っておいた方が良いだろうと思った」、と記しています。
著者が米国滞在中に経験した、トミー・フラナガンという著名なジャズピアニストとの無言の以心伝心の話、「偶然の旅人」も不可思議ですが、日本語をしゃべる泥棒猿の「品川猿」も、まことに奇妙な話です。
「日々移動する腎臓のかたちをした石」も、タイトルからして、まさにハルキ・ワールドで、ちょっと怖い、不思議な話です。
御用とお急ぎでない向きは、一度、この本を読んでみることをお勧めします。そして、読後感を、このサイトのブログで投稿してみては?
ところで、先日、わたしの好きな東京・隅田川近くの、ウオーターフロントのちょっとした小料理屋で知人と一杯やっていた時に聞いた奇譚(?)です。
彼の実家は北海道のオトフケ町で、兄が農業を営んでいます。先日、営業先の担当者と北千住の「湯波」料理の有名店に入ったときのこと。
あまりに美味な「湯波」なので、どこの大豆を使っているか、聞いたところ、最高の湯葉を作るには、オトフケ町のミウラ農場の大豆「おおふりそで」以外、使えない、との答えだったそうです。
偶然入った店で、自分の故郷の、しかも良く知っている農場の名前が出て、びっくり。
たまたま「東京奇譚集」を読んだあとだったので、世の中の「偶然」の不思議さに、わたしも知人も、いささか言葉を失った次第です。
ひょっとして、世の中、すべて偶然のようでいて、なにもかも必然、なのかも・・・。