環境潮流を読む 向井征二のブログ

プロフィール
向井征二さん
◎このページを運営しているJCTX代表の向井です。
これまで、JCTXの公式HP(http://jctx.org/)
のほうで、「向井代表の環境ブログ」を連載していましたが、このページ開設を機会に、こちらに引っ越します。
これまでの環境ブログのバックナンバーは、公式HPのほうに保存されていますので、ごらんください。

◎環境経営コンサルタントという本業の傍ら、市民活動にも注力してきましたが、1997年からは社会活動として、環境啓発セミナー、環境ベンチャー企業の発掘と紹介活動にも力を注いできました。
2004年に立ち上げた「環境取引」は、省エネ技術の伝承と国産クレジット取引を組み合わせたビジネスモデルです。

◎このブログでは、この活動にまつわる私の意見だけでなく、趣味の海外旅行の話題にも折々にふれてみたいと思います。ご愛読ください。

◎この写真は、南ドイツの環境都市・フライブルクでサイクリングしたときの1枚です。



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新ISO規格「持続可能なイベントマネジメント」

夕食時に、おいしいシャブリの白ワインを楽しみました。ここは中部フランスの小さなシャブリ村の街かどです。田舎町ですが、なんともおしゃれな街並みでした。

本サイトのコラムニスト中西さんから、昨日の第3回神奈川カーボンオフセット推進協議会セミナーの報告がありました。

今回はわたしも登板し、カーボン・ニュートラル認証制度について講演しました。

その中で、「持続可能なイベントマネジメントシステム」という新しいISO規格(ISO20121)を少し紹介しました。

この規格は、ロンドンオリンピック開催が決まったのを契機に、英国で作られた国内規格(BS8901::2007、改訂2009)を国際規格化するため、現在ISO内部で検討作業が進んでいるもので、オリンピックやワールドカップのような超大規模イベントから、通常のイベントまで、環境面・社会面・経済面で持続可能にしようという発想の、イベント主催者のためのセクター(=業種別)規格です。

ことし6月にはISO規格として発行される予定で、ロンドンオリンピックが適用第1号になる見込です。

巨大イベントが丸ごと、カーボンニュートラル(=CO2排出ゼロ)になるのは世界初の取組で、大いに注目されます。

東京都も、誘致の条件として、環境オリンピックをうたっていますが、オリンピック開催を契機に、形のない国際標準というソフトウエアで主導権を握ろうという英国の発想と、国際戦略の巧妙さには舌を巻きます。

我々日本人も、世界に通用するソフトウエアを開発したいものですね。

省エネ法改悪への懸念

セブ島のセミナー会場は、トロピカルムード満点

◆昼間が32℃という、熱帯のフィリピンから、厳寒の日本に戻り、ひどく風邪をこじらせました。それでも、予定通り東京出張はこなしましたが、仙台出張は、さすがに思いとどまりました。

◆1週間ぶりに回復し、まとめて、ブログを読んでいます。国家予算のありかたをめぐる中西さんと太郎さんの意見交流、ずっしりと読み応えがありますね。

◆このブログの運営責任者として、このような真正面からの意見交流は、望むところで、わくわくしています。もっといろいろな立場のかたがたからの意見を書き込んでほしいものです。

◆桃井さんのブログも、見逃せない話題です。企業の負担軽減といいながら、実は省エネの潮流を逆流させるような政府の試案です。

◆省エネ法といえば、アジア近隣諸国では、日本の省エネ法を1つのモデルに、次々と自国の事情に合った省エネ法が制定されつつあります。

◆昨年2月に省エネ支援で訪問したベトナムは、1月1日付で新省エネ法が公布され、目下、その肉付け作業が急がれているようです。

◆今回訪問したフィリピンでも、20年前の旧省エネ法にかわって、来年制定に向けて、新省エネ法の検討が始まったと聞きました。

◆中国やタイ国では、すでに数年前に省エネ法が施行されているそうです。

◆日本の省エネ法は、オイルショック後に制定され、トップランナー方式や、一定規模以上のエネルギーを消費する企業の報告義務制度など、独自の考え方を盛り込んだ法律で、日本が世界有数の省エネ大国になるうえで、一定の成果をあげてきたことは間違いない事実です。

◆ただし、日本社会の自由度を制約している、牢固とした「縦割り行政」を、省エネ法もしっかりと反映しています。

◆経済産業省の資源エネルギー庁管轄のこの法律は、あくまでも産業政策の一環として制定され維持されてきました。

◆環境配慮や環境教育、自然エネルギー振興といった21世紀型政策とは一線を画するもので、いわば時代遅れの視野の狭い法律と言えます。その意味では全面見直しが必要な段階に来ていることは確かですが、今回の試案のような逆コースの改悪案には、とうてい賛成することができません。

◆ベトナムの省エネ法は、省庁横断的な法律の構成になっており、省エネの数値目標はもとより、交通、家庭や学校における省エネまでしっかりと目配りしています。先輩の日本の省エネ法の問題点を学習し、「他山の石」にしたのでしょうか?

◆むしろ、これからは、アジア近隣諸国の先進的な省エネ法に、日本も謙虚に学ぶ時代が来ているのでは?






中小企業こそ日本の産業競争力の基盤


ここは、どこか、わかりますか?
北京の紫禁城内です。寒い寒い北京でした。

ところで、昨日、6年来お付き合いのある、コンサル先の精密金型メーカーさんを訪問しました。

30人足らずの中小企業です。仕事がひところの半分に減ってしまったそうですが、従業員をひとりも解雇せず、歯を食いしばって、厳しい厳しい冬に耐えています。

大手企業からは、こうした下請けメーカーに仕事を出す代わりに、過酷なコスト削減を要求し続けてくるそうです。

大手もたいへんでしょうが、この規模の中小企業には、大手に追随して海外に進出するという余地も選択肢もありません。

勤続数十年の老職人さんが、黙々と精密金型の仕上げをしている姿に、頭が下がりました。日本の産業競争力の基盤は、この人たちなのですね。

私たちコンサルタントも、このような現実をよくよく認識しつつ、具体論で中小企業のお役に立つ助言をし続けていきたいものです。

早く日本経済に薄日が差してくることを祈りつつ、工場をあとにしたことでした。
話題の乗り物、セグウエイに英国で試乗!



コラムニストの中西さんの新着ブログにあるとおり、昨日(2012年1月18日)、横浜市で開催された神奈川カーボンオフセット推進協議会の第2回セミナー&シンポジウムに、わたしも傍聴者として参加しました。

オフセットに取り組んでいるベンチャー企業として、「セグウエイジャパン」の大塚氏も登場し、この新しい乗り物の可能性を熱く語ってくれました。こうした新商品にもカーボンオフセットが可能なんですね。

実は環境仲間との交流のために英国のバーミンガムを訪問したとき、この電動式走行装置に、試乗する機会がありました。

試乗するのはもちろん、初めてでしたが、ちょっと教わっただけで、操作は至極簡単、自由自在、狭い室内を縦横に走行することができました。

この走行装置は、北海道の自然公園や中部国際空港など限定されたエリアでは、実用的に使われ始めているそうですが、日本では、まだ公道の走行が認められていません。

そういえば、昨年出張でベトナムに行ったとき、乗り継ぎに立ち寄ったタイの国際空港で、警備員が気持ちよさそうにセグウエイを、かなりのスピードで乗り回しているのを見かけました。

欧米ではすでに公道走行が認められているそうですが、日本でも、つくば市の「モビリティロボット実験特区」で、昨年6月から、公道における走行実験が始まっています。

街のあちこちで走る姿が日本でも見られるようになると、いいですね。






日本の省エネの知見は貴重な輸出商材
◆昨年末に開催された、ダーバンのCOP17に日本政府代表団の一員として参加した中村浩平氏(外務省国際協力局気候変動課・気候変動交渉官)の「国連気候変動枠組条約締約国会議(ダーバンCOP17)に参加して」という小論文をたまたま、読みました。

◆その中で、同氏は次のように書いています。
・COP17では、京都議定書に替わる新たな法的枠組みを作ることに合意したと同時に、その体制への移行を2020年まで「先送り」することにも合意した。

・従って、温暖化対策の観点からは京都議定書で削減義務を課されない85%の国々が2020年までにどういう取組みをするかに注目する必要がある。

・日本政府はこれまで、京都議定書第1約束期間(2008年~2012年)終了後、直ちに新たな法的枠組みに移行するのが現実的でない以上、2013年以降は3割弱かそれ以下しかカバーしない京都議定書第2約束期間より、8割以上をカバーする2010年のカンクン合意を基礎として体制を強化し、できるだけ早い時期に新たな法的枠組みに移行する方が公平であり効果的であると訴えてきた。

・この我が国の主張との関係では、新たな法的枠組みへの移行が2020年以降とされた今回の決定が持つ意味は非常に重い。

日本が利己的な動機ではなく、地球益に立ってこのような主張をしてきたことを証明するためには、2013年から2020年までの8年間、日本は米中印を始めとする主要国とともに実効的な気候変動対策をとるべく、自らが率先して範を示しつつ、積極的に働きかけていかねばならない。

・国際社会のリーダーの一員として日本が果たすべき責任は重い。

◆国際交渉に直接従事した当事者ならでは、の意見と感想で、たいへん興味深い内容です。



◆私が取り組んでいる「中小企業への省エネ支援」は、気候変動問題とは、ややニュアンスが異なりますが、日本の責任と役割という意味では、共通の課題、と思います。

◆近年、私も、中国やアジア各国に出向いて省エネの支援活動を行なう機会が少しずつ多くなりましたが、どこの国でも異口同音に要望されるのが、省エネの知見の伝承です。

◆3年ほど前に、上海の省エネセンター(節能協会)に招かれて講演したときも、終わって会食した要人から、
「省エネ設備は、高級志向の日本製品ではなく、世界中から安くて中国のニーズに合ったモノをいくらでも調達できます。
日本に期待しているのは、モノではなく、省エネエキスパートによる現場指導だけです」と、ずばり、指摘され、鼻白んだことがありました。

◆しかし、この指摘は的を得ているのかなと、考え直したことでした。

◆国際社会のなかで、日本の存在感がますます低下していると言われていますが、日本企業の省エネの経験と運用改善のノウハウは、他国にとって魅力です。

これは、世界に開示すべき「国際公共財」として、私たちの税金で途上国に無償提供することも日本の国際貢献でしょう。

◆同時に、輸出競争力のある「無体財産」として、ビジネス化すべき価値ある「商材」です。

◆このサイバーエコタウンの常連ブロガーの「shouenekozo(省エネ小僧)」さんのような、筋がね入りの省エネ専門家が、どしどし、アジア各国に省エネ支援に出かけてくれると、いいですね。

2012年、明けましておめでとうございます!


明けまして、おめでとうございます。
何十年ぶりかに、紅白を最初から最後まで見た後で、近くの寺院に初詣に行ってきました。

紅白でも、震災復興と人々の「絆」がテーマでした。
多事多難な2011年でしたが、改めて、日本という国の魅力と、日本人の健全さに気付いた年、でもありましたね。

同時に、「官」や大企業の無責任ぶりにもしっかりと気付かせてもらうこともできたことは、思いがけない収穫でした。私たち国民がしっかりしない限り、日本に明るい未来は、こないことも、十分に認識できました。

その意味では、例の「大阪都」構想、面白いですね。昔、首都圏も「東京府」と「東京市」の二重行政でした。これを一本化して、「東京都」にしたように、市民がその気になれば、十分実現可能性のある構想です。

ことしこそ、国民主権の原点に返って、日本再生のための出発点の年、にしたいものです。

ところで、改正環境教育推進法への疑問を書いたわたしの投稿をめぐって、ブロガーの太郎さん(参議院議員の政策秘書のかたです)から、大晦日に長文のご意見を投稿いただき、じっくりと読ませていただきました。ありがとうございます。

このような真摯な意見のやりとりこそ、ブログの醍醐味ですね!!

ブログ苦手の読者のみなさまも、コラムニストの桃井貴子さんが書いておられるように、日々の日記や備忘録(かつてはこんな言葉もありました)のかわりに、気軽に投稿しましょう。

サイバーエコタウンは、完全に言論自由の世界です。個人攻撃にわたらない範囲で、賛成・反対・異論反論、なんでも歓迎です。

ブロガー登録してから、あまり投稿していないあなた、久しぶりに投稿してみませんか?



改正環境教育推進法を知っていますか?
平成15年に成立した環境教育推進法がこのたびリニューアルされ、改正案が平成23年6月に成立、来年10月1日に全面施行されることになりましたが、知っていましたか?

おそらく、環境関連のNPO活動にでも従事していなければ、無縁の法律なので、知っているひとはごく限られると思います。

この改正法をみると、民間団体や事業者がこれまで任意に実施してきたNPO活動や民間資格の認定を、国や都道府県知事の「認可」制度の枠内で行なわなければならない、という趣旨の条項がいくつも含まれています。

自然エネルギーの普及啓発をテーマに、小中学校への出前講座や子供向けの再生エネルギー教室、環境名所の見学会や学習会など、ささやかながらNPO活動を行なってきた立場からみると「余計なお世話」と言いたくなります。

こうした法律は、民間の自由な活動を阻害するおそれもなきにしもあらず、です。「認可」を受けない団体は、活動のチャンスを奪われ、社会的に淘汰される心配もあります。

来年の施行に向けて準備中のこの法律の運用面を注意深く見守っていくことにしたいと思います。

詳しくは
http://www.env.go.jp/policy/suishin_ho/

電気要らずの自動扉


先日、JCTX会員企業さんの運営する省エネショールーム「スマートファクトリーショールーム」に久しぶりに出かけてきました。愛知県にあるこの施設は、特定のメーカーのショールームではなく、空気、水、照明などのテーマゾーンに、この企業さんが選んだ最先端のエコ商材を展示する、全国でも珍しい展示場です。

サイバーエコタウンの広告スペースにも仮想ビルを出展していただいていますので、ご参照ください。
常時オープンしていますので、お近くのかたはお出かけください。

ここのエントランスに、JCTXが推奨している、電気を使わない自動扉を設置できないか、メーカーさんと一緒に打合せに行ったものです。この自動扉は、先日、NHKの朝のニュースでも詳しく紹介されました。

節電・省エネが国策になりましたが、このように電気を全く使わないエコ商材がこれから続々と世の中に登場することを期待しています。

私たちJCTXグループは、長年、中小企業の省エネ支援をテーマに活動していますが、これからは、電気そのものを使う必要のないエコ商材にも注目し、普及に注力していきたいと思います。

読者のみなさま、これは、と思われたエコ商材があったら、ぜひ情報提供してください。
北国の旅(その3)


美幌峠から展望する摩周湖の絶景です。地元のかたも驚くほど、快晴無風の1日でした。ここを訪れた翌日から寒波が襲来し、冬模様になったそうですので、まことにラッキーでした。

ここは、ドラマの「君の名は」の名場面でも知られています。美空ひばりの歌碑も建っていました。



北見市も、人口減少と産業活力低下に悩んでいますが、これだけ豊かな自然資産と再生可能エネルギーの潜在的可能性に恵まれている土地です。

今回のセミナー会場となった北見工業大学でも、さまざまな未利用資源、エネルギーの研究が進んでいる様子でした。わたしたち外部の者も、地元のかたがたと一緒に知恵を出し合って、地域の活性化になんとかお役に立ちたい、と思いながら北見市をあとにしたことでした。
北国の旅(その2)

ハッカ(薄荷)がかつて、日本の有力な輸出産業だったことを知っていましたか?   
先日、講演で北見市を訪問する機会を得たため、かねて念願だった北見ハッカ記念館を訪問することができました。



「薄荷」とは、入り交じって群がり生える(薄)地下茎の草(荷)という意味です。
ハッカは、今から3500年前、古代ギリシャで生薬として利用されており、歴史上最も古い栽培植物の一つと言われます。そのハッカが日本に伝えられたのは今から約2070年前。 10世紀には、山菜として平安貴族の食卓をにぎわし、室町時代には薬種として用いられたという記録があり、実は宇治近辺で、お茶よりも早く栽培が行われていたとも言われています。

和種ハッカの可憐な花

明治35年頃から生産が始まった北見ハッカは、昭和8年に、世界一と言われたホクレンのハッカ精製工場が北見市に建設され、昭和9年から北見ハッカの輸出が始まりました。昭和14年に全盛期を迎え、当時世界薄荷市場の約70%を占めるまでに成長し、現在の北見地方の経済の基礎を形成する重要な産業となりました。

しかし、戦後、中国、台湾、ジャワ産と新たなライバルが出現、海外からの輸入ハッカと合成ハッカに押されます。1960年頃にはついに天然と合成が入れ替わり、世界的に合成ハッカの時代に入りまし
た。

1971年には、ハッカが輸入自由化になりました。ホクレン北見薄荷工場も、昭和58年その役目を終えた工場が解体されると同時に、ホクレン農業協同組合から北見市に研究所が寄贈され、昭和61年、北見ハッカ記念館として新たな役割を担うべく公開されています。

この施設で、ハッカの製造工程も見学することができます。天然ハッカは、水晶のような見事な結晶になります。記念館で聞いた説明によると、パリの香水博物館には、日本の天然ハッカとして北見産のハッカの結晶が展示されているそうです。


この施設は、平成19年11月30日、経済産業省より日本近代化産業遺産として認定されました。
「ホクレン北見薄荷工場」が閉鎖された翌年、民間有志が「北見薄荷通商」を起業、再び北見のハッカを産業として再生する活動に取り組んでいます。北見ハッカという伝統産業をぜひ守り育ててほしいと強く願ったことでした。

この北見ハッカという1つの産業の興亡と再生のドラマは、これからの日本の産業競争力の在り方を考える上で、たいへん示唆に富んでいます。TPPをめぐり、国論が2つにわかれているかのように、メディアが書きたてていますが、日本の農業がTPPによって壊滅するという極論には首をかしげざるを得ません。日本農業は、そんなに「ひ弱な花」なのでしょうか?
日本農業も、国際競争力のある産業として世界を相手にするという気概を持ちたいものだ、と思います。

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