環境潮流を読む 向井征二のブログ

プロフィール
向井征二さん
◎このページを運営しているJCTX代表の向井です。
これまで、JCTXの公式HP(http://jctx.org/)
のほうで、「向井代表の環境ブログ」を連載していましたが、このページ開設を機会に、こちらに引っ越します。
これまでの環境ブログのバックナンバーは、公式HPのほうに保存されていますので、ごらんください。

◎環境経営コンサルタントという本業の傍ら、市民活動にも注力してきましたが、1997年からは社会活動として、環境啓発セミナー、環境ベンチャー企業の発掘と紹介活動にも力を注いできました。
2004年に立ち上げた「環境取引」は、省エネ技術の伝承と国産クレジット取引を組み合わせたビジネスモデルです。

◎このブログでは、この活動にまつわる私の意見だけでなく、趣味の海外旅行の話題にも折々にふれてみたいと思います。ご愛読ください。

◎この写真は、南ドイツの環境都市・フライブルクでサイクリングしたときの1枚です。



QRコード
カテゴリ
アクセスカウンタ
Total:42561
Today:57
Yesterday:70
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 最初 | next>>
スウェーデンの脱原発政策をめぐって

やや長文ですが、前回の続きです。おつきあいください。

きのうは子供の日。図らずも、日本の原発がすべて停止、という歴史的な日になりました。

そんなことを考えながら、世界で初めて、原発廃止を国民投票で決めたスウェーデンに、2000年に環境視察のために出かけたときのことを思い出しました。
 
********************

スウェーデンは、1980年の国民投票において、稼働中の原発12基の全廃を決定し、議会は2010年までに原子力発電所を全廃するとの決議を採択
しましたが、電力供給や雇用、経済への影響が大きすぎることを理由に、脱原子力政策は事実上凍結されてきました。

スウェーデンが「脱原子力政策」を決定した1980年末には、6基の原子力発電所が稼動しており、6基の原子力発電所が建設中でした。

対岸にデンマークの首都コペンハーゲンが位置するバーセベック原子力発電所はスウェーデン第3の都市マルメ市の近郊にあり、かねてから原
子力発電所の安全性に疑問を持つデンマークはその廃止を要求し続けていました。

2000年7月に開通したエーレスンド橋は、デンマークの首都コペンハーゲンとスウェーデンのマルメ市を結ぶ全長16キロの国境の橋です。

この橋ができたことにより、デンマークとスウェーデンは、フェリーで1時間かかるところ、電車や自動車では30分ほどで移動できるようになりました。バーセベック原発は、この橋からほど遠くない場所にあります。デンマークにとっては、橋の開通によって、スウェーデン側にあるバーセベック原発の存在が、ますます、切実な「リスク」と感じられるようになっていったことでしょう。





1996年当時、少数与党であった社民政権は、脱原子力を主要政策に掲げる中央党との間で、原子力発電所の閉鎖問題をめぐり政策を異にしていましたが、デンマークからの圧力を理由に、民営であるバーセベック発電所2基を閉鎖の対象としたことで、左翼党を含む3党合意を成立させ、かつ他の国営原子力発電所の温存を図ることになったものです。

スウェーデンの民間電力会社シドクラフト社は、1999年11月、政府、バッテンフォール社(国営電力)との間で補償協定が成立したのを受け、同日、バーセベック1号機の運転を停止しました。

「2010年までに全原子力発電所を段階的に閉鎖する」という1980年の議会決議以来、ほぼ20年間にわたってスウェーデンの政治課題となってき
た「脱原子力政策」は、民間の電力会社が所有する原子力発電所の強制閉鎖と巨額賠償という異例の結末を迎えます。

1997年2月には、与野党の合意で、バーセベック1号機を1998年7月1日までに、同2号機を2001年7月1日までに閉鎖することが決まります。

しか
し、この合意により2010年までに原発全廃という閉鎖期限は撤廃されました。

1号機閉鎖当日にプレス発表された政府と発電事業者との合意内容を見ると、驚くほど、事業者に配慮した内容になっています。

たまたま2000年にスウェーデンを訪問した際、バッテンフォール社の幹部とのランチョンミーティングで、「今回の強制廃止命令が逆に、想定以上の収益になり、企業経営にとってきわめて理想的な形になった」と、顔をほころばせていたことを鮮明に思い出します。

当時のペーション首相は2000年9月、バーセベック2号機の早期閉鎖計画の延期を発表しました。これは首相が議会の所信表明の中で、「バーセベック2号機は、1997年に議会で定めた条件、すなわち、省エネ、非化石燃料発電等で年間40億kWhの電力損失がまかなわれた場合のみ、2号機を閉鎖する」との閉鎖条件をクリアした時点で閉鎖する」というものでした、

一方、2004年の世論調査では、1980年の国民投票以来初めて、原子力発電所の閉鎖より維持を望む国民が多いことが示されました。

既存施設の維持または拡大を望む国民は46%、原子炉寿命が来た時点での閉鎖が34%という結果となっています。
 
2005年5月31日にバーセベック2号機(BWR、61万5,000kW)が強制閉鎖された影響で、発電電力量は約50億kWh減少。閉鎖前の2004年には原子
力発電が総発電電力量に占める割合(原子力シェア)は51.1%でしたが、2006年の原子力発電による電力量は約650億kWh、総発電電力量に占める原子力発電の割合は48.5%(現状は46%)。

2009年2月には、1980年の国民投票において決まった原発の段階的廃止という方針を修正し、再生エネルギーの開発・普及や省エネの促進によるエネルギー構造の転換は今後も続けていくものの、既存の10基の原子炉の寿命が来た際に新設原子炉による更新が必要とされれば、その更新を認めるという決定を行ないました。

スウェーデン議会は2010年6月、世界に先駆けて打ち出した同国の脱原発政策を30年ぶりに転換し、来年以降、既存の原発の原子炉建て替えを認める法案を賛成174、反対172の小差で可決しました。

日本の脱原発論議がどのような決着になるか、まったく読めない現在、これまで、脱原発先進国と考えられていたスウェーデンの情報も、大いに参考になると思われます。

ただ、スウェーデンの場合は、再生可能エネルギーに未来を託す、という、1970年代のオイルショック以来の長期国家戦略にはまったく、ぶれがない、ということです。

必要悪としての原発は、それまでのつなぎとして存続を認めよう、ということなのでしょう。

日本の場合は、基本的な国家エネルギー戦略がそもそも、未だに存在していないところに、辛さがあります。

いずれにせよ、FUKUSHIMA以降、原発に日本の未来を託すという選択肢は、もはや、考えられません。この分野でも、ほかの政策と同様、頼りない政権政党をあてにせず、国民が自らの進路を決めていくしか、ありませんね。

原子力安全神話の破たん
国語辞書によれば、神話とは:
1 宇宙・人間・動植物・文化などの起源・創造などを始めとする自然・社会現象を超自然的存在(神)や英雄などと関連させて説く説話。

2 実体は明らかでないのに、長い間人々によって絶対のものと信じこまれ、称賛や畏怖の目で見られてきた事柄。「地価は下がらないという神話」「不敗神話」

昨年、3.11直前の2月25日、ベトナムのハノイ市で「日本とベトナムの環境技術連携」というシンポジウムが開催されました。

たまたま、省エネ支援でハノイ市に滞在していた私は、このシンポジウムを聴講する機会がありました。

※日経環境シンポジウム

「日本の原子力技術が切り開く地球温暖化防止」というセッションでは、日本を代表する大手メーカーが、日本の原子力利用の現状と優位性を、誇らしげに発表しました。

おそらく発表者も傍聴者も、日本の原子力技術の安全性に疑問を持ったひとは、会場には誰もいなかったと思います。わたしも例外ではありません。

まさか、このシンポジウムの2週間後に、未曽有の大災害が日本で発生するとは、誰一人、想像もしていませんでした。

「実体は明らかでないのに、長い間人々によって絶対のものと信じこまれ、称賛や畏怖の目で見られてきた事柄」が神話です。

その道の専門家と政府に私たち国民は洗脳され、いつの間にか、日本の原子力安全神話が形成されてきたのですね、安全性に疑問を投げかける専門家の意見を異端視し、封殺しながら。

FUKUSHIMAが発生しなかったら、いまでも私たちはこの神話を信じ込んでいたことでしょう。

この神話が、根拠のない神話でしかなかったことが露呈したいまも、日本政府と大手企業は、ベトナムなど外国に原発を輸出しようと画策しているようです。「恥知らず」な所業としか、思えません。

投票権以外、なにも異議申し立ての手段を持たない、民主国家ニッポンの国民として、何ができるのか、深く考える日々です。

国際社会で影が薄くなった日本。
いずれは先進国の仲間からも脱落するかもしれない日本。

今後は、環境技術、省エネ技術、創エネ技術で世界に貢献していくしか、生きる道は残されていないことをひしひしと実感します。

しかも、この分野の日本の優位性は、時間軸に直すと、ほんの数年差でしょう。たまにアジア諸国に省エネ支援で出ると、猛烈に日本を追尾し、追い抜こうとしている国々の風圧を感じます。

近隣諸国だけでなくヨーロッパの小さな国々も日本を意識し、アジアをマーケットとして日本に追いつき、追い抜こうとしています。

この環境潮流では、そうした外国の動きも少しずつ、お伝えしています。継続してご愛読ください!









ドイツのプラスエネルギー住宅




BS放送で偶然、世界のエコ都市の紹介番組を見ました。
今回は、ドイツの環境首都フライブルクでした。

私自身、NPO活動として、ドイツの環境首都コンテストにヒントを得て取り組んだ、日本版環境首都コンテスト(10年間の活動が昨年終了)に数年間、かかわったこともあり、その本家ともいうべきフライブルクにも、何度も訪れたことがありますので、懐かしく思いました。

環境学習の場の半地下式エコセンター、屋上に全面ソーラーを貼ったサッカースタジアムなどのほか、市の郊外にある、ソーラーパネルメーカーのソーラーファブリック社のユニークな社屋まで出てきて、ちょっとびっくりしました。ここも、レンタサイクルで訪問したさきでした。

旧NATO基地の跡地にできた、ヴォーバンのプラスエネルギー住宅も詳しく紹介されていました。ここは2回訪問しましたが、最初に訪れたときは、荒れ果てた土地に、上記のような長屋が数件、建築中でしたが、数年後に行ったときにはほぼ完成し、居住者が生活していました。狭い横丁までわざわざこしらえてあり、まるで、江戸時代の日本の長屋暮らしのようで、懐かしささえ、覚えました。

案内してくれた現地NGOの説明では、このプラスエネルギー住宅のエネルギー収支は次のとおりです(現場で聞いたままをメモしたので、間違っているかもしれませんが)。
4人世帯の場合:
1次エネルギー(暖房・給湯・給電など)の消費量=34,000kW/年
プラスエネルギー住宅の年間発電量=5700kWh=50年間に20万リットルの灯油に相当
売電収入=150-300E
ソーラーパネルの価格=24,000-600,000E
住宅の年間暖房エネルギー消費量=11-15kWh/㎡

日本でも近年は、これと遜色のないエコ住宅ができているようですが、1戸建てではなく、長屋形式は、まだ少ないかもしれませんね。

電極がない電球という発想
昨日、名古屋で第25回目の国産クレジット研究会を開催しました。2004年に名古屋でJCTXが活動を始めてから、名古屋と東京を中心に、継続して開催している研究会です。

このサイバーエコタウンのイベント情報でお知らせしていますが、毎回、最新のエネルギーマネジメント情報提供や、行政からの情報提供を行なっています。

「注目の省エネ技術」を紹介するコーナーも参加者に好評です。今回の注目の技術は、JCTXも推奨商材として普及に注力している「無電極ランプ」でした。静岡からメーカーの担当者をお招きし、詳しく説明してもらいました。

ほとんどの参加者には、初耳の技術ですが、実はこの無電極ランプ、はるか昔にドイツで開発された技術のようです。日本では、数年前に、大手メーカーが商品化していますが、まだ本格的に普及するのは、これからです。


株式会社TOSMO ホームページから図引用



■発光原理
無電極ランプは、点灯回路(高周波インバータ)、誘導コイルと発光体から構成されます。電極(フィラメント)がないのが特徴です。

安定器(コントローラー)を介して送られる高周波電流が、電球内部にあるコイルの周囲に誘導電界を生じさせます。誘導電界内で励起した水銀原子から紫外線が発生し、蛍光体を透過し可視光線となって周囲を明るく照らします。蛍光灯と似た構造です。

※励起とは、原子や分子がエネルギーを受けとって、より高エネルギーの状態に移行すること。

まず、高周波インバータにより誘導コイルから高周波磁界を発生させ、この磁界によって生じる電磁誘導により、電球内の水銀ガスが励起されることで紫外線を発生させます。

この発生した紫外線により、電球内壁の蛍光体を通して可視光線になるという原理です。

電子レンジに蛍光灯をいれると、点灯するそうですが、同じ発光原理です。

■特長
一般に普及している水銀灯とは異なり、フィラメントを持たないため、断線(球切れ)や蒸発等による電極の消耗が無く、長寿命が可能です。(理論上半永久構造)

また演色性(Ra>80)に優れ、且つノーフリッカ(点滅・ちらつきがない)、ノーグレア(まぶしさがない)の、自然光に近い光が特徴です。


株式会社TOSMO ホームページから写真引用

■長寿命
無電極ランプは、電磁誘導の原理と放電による発光原理を利用することで、発光管内に電極を持たないため、ランプ切れの原因となる電極の劣化・折損が生じないことが特長です。

LEDに匹敵する長寿命のため、故障時の修理・交換が困難な場所など、保守管理費用の高い場所での利用に向いています。

■即時点灯・即時消灯可能
一般に工場等で広く使用されている水銀灯は、スイッチをオンにしてから点灯するまでかなりの時間がかかりますが、この無電極ランプは、スイッチオンにすると、すぐに点灯します。こまめにスイッチをオンオフすることができるため、節電・省エネに心がける企業にとって、まことに心強い味方、ということになりそうです。

電球などは、すでに技術の終着点まできていると、素人考えで、思いこんでいましたが、発想の転換で、環境技術にはまだまだ可能性がたくさん、残されていることを実感した次第です。

なお、この分野でも、中国が開発の先頭を走っているとか。技術大国ニッポンが、環境技術開発競争で、いつの間にか周回遅れになってしまった、ということのないようにしたいものです。

マイペースで自分の健康を維持する!


香港の街中にある、小公園です。あちこちで、太極拳をやっているグループを見かけますが、この小公園には、おとなのための運動用具がたくさん備えられ、器具の使い方や健康維持を呼び掛ける看板がありました。朝の散歩のついでに、わたしもちょっと体験してみました。

※左の女性は、地元のかたです。無断撮影ご容赦。

日本の公園には、こどものための遊具しか、ありませんが、この種の、おとなが遊べる設備が、超長寿社会を迎えようとしている日本にもあると、いいですね。長い目でみると、日本の医療費の節約にも貢献するのでは?

中国は、大陸でも香港でも、周りの目を気にせず、悠々と自分のペースで体を動かしている人たちをたくさん、見かけます。わたしのような旅行者がなにをしても、周りの人たちは、見向きもしません。

日本人は周囲の目をいつも気にしながら暮らしていますので、結構、日本で生活していると、ストレスがたまることが多いような気がします。

海外に出ると、たまったストレスが発散できるうえ、文化の違いを体感できますね!

フェースブックで、日本の例を発見しました。この投稿者も、香港で見かけ、日本にもほしいものだと思っていたら、ご近所の公園で工事が始まり、なんと、香港と同じスタイルの健康維持遊具が登場したそうです。
地域はわかりませんが、日本各地にも、探せばあるのかもしれませんね!






遊休屋根でソーラー発電


7月から、いよいよ再生可能エネルギーの全量固定価格買取制度(FIT)が始まろうとしています。

この制度に関連して、「遊休屋根を借りてソーラー発電する」というビジネスモデルが話題になっています。これは、発電会社が工場やビル、一般家庭の屋根を借りて発電事業を行えるようにするというものです。

これらの一連の写真は、南ドイツ・フライブルク市内の遊休屋根利用ソーラー発電の実際例です。





地元のNGOが出版社の屋上を借りてソーラー発電をしています。NGOの女性責任者に案内してもらい屋上まであがってみました。

この出版社の設備担当者にもインタビューしてみましたが、「空いている屋上を貸しているだけですので、特別にリース費用などは申し受けていません」と、あっさりしたものでした。

遊休屋根の利用には、様々なスキームが考えられます。

ドイツや英国で実施されている仕組みは、屋根を貸してくれる企業や個人の屋根に、発電事業者が太陽光パネルを設置し、FITにより売電収入をあげます。屋根のオーナーは、太陽光パネルで作られた電力を無料で使用することができるというものです。

日本国内でも、工場や大規模商業施設の折板屋根や陸屋根に特化した発電事業に進出する事業者が出てきています。

一般家庭の屋根借り事業同様、貸し手企業は自己負担ゼロで、設置した太陽光発電の規模に応じて、15年間、一定の収入が得られるというモデルです。
ルーフリースを商標出願中の事業者のHP参照:

工場屋根に注目が集まるのには理由があります。

2MW以上の発電所には特高連系が必要で、申請から連系まで約1年近くもかかる場合もあり、また、コストも連系線の敷設で上昇するケースが多く見られます。

そこで、2MW以内の規模で、一定以上の面積があり、近くに高圧線があり、土地整備費もいらないなどの好条件が整っているのが、都会や工業地帯の真ん中に立地する会社や、工場屋根なのです。

日本では、ドイツのようにあっさりと貸してくれるオーナーは、まだ、多くないような気がします。

屋根に荷重がかかり、水漏れや強度劣化が考えられること、台風や地震の際の危険負担を誰がどう見るのか、など、解決すべき課題が山積のため、オーナーが慎重になることが考えられます。 

ともあれ、遊休屋根の利用は、太陽光発電の設置目的によっては、メリットが大きいと考えられますので、政策の後押しさえあれば、日本でも普及が進むことが期待できます。

それにしても、フライブルク市は、ヨーロッパ最先端のソーラーシティーを自認しているだけに、大規模施設屋上のソーラー発電が一般化していることに驚かされました。


フライブルク市内のサッカースタジアム屋上


大学病院の屋上

カーボンマーケットエキスポ2012 盛況でした!


・昨日(3月9日)、有楽町の東京国際フォーラムで、環境省主催のカーボンマーケットエキスポが開催され、1万人以上が詰めかけて、大盛況でした。このイベントは、従来、「カーボンオフセットエキスポ」として各地で小規模で開催されてきたのを、今回、名称も変えて大規模に開催したものです。

・今回のイベントでは、興味深いセミナーや講演も数多く、開催されました。
順次、環境省のHPにアップされると思いますが、別会場で開催された「CDM」の今後の動向セミナーは満席の盛況でした。国連CDM理事会の
日本代表(戒能理事)と、気候変動枠組条約事務局のカークマン氏から、最新動向を詳しく聞くことができました。

・イベントの最後に、展示会場の一角にあるセミナーコーナーで、カーボンニュートラル認証試行事業の事業者として選ばれた4社(佐川急便、日本興亜火災、リサイクルワン、富士レビオ)から成果発表がありました。JCTXは、このうち、検査薬メーカーの富士レビオさんの計画認証取得を支援しました。業種を問わず、この制度を利用する事業者が増えることを期待しています。

※カーボンニュートラルとは、製品や活動の一部だけをオフセットするのではなく、組織全体の排出量をゼロにするための取組みです。
みずからの排出量を正確に把握し→自助努力で削減し→最終的に未達成部分をクレジット購入等で穴埋めする、という考え方です。

・環境省ではカーボンニュートラル認証制度を昨年秋に開始し、応募事業者を公募中です。関係先で、この制度に関心のある向きは、ぜひJCTXまでご相談ください。


エネルギー問題をめぐる技術的課題と社会的課題

座長をつとめた各学部の代表選手がずらりと並んで、まとめのパネルディスカッション。

東京の日本大学法学部で、2月24日(金)・25日(土)にわたって、たいへん興味深いシンポジウムが開催されました。

「日本大学学部連携研究推進シンポジウム」です。写真のとおり、21世紀における新たなエネルギーシステムの構築に向けた総合的研究、がテーマです。

同じ大学の文系から理工系までの専門家が一同に会し、学際的に議論するのは、行政と同じく縦割り構造の日本の大学では、あまり例がない、のでは?

多彩なプログラムの全貌は、下記PDFをご参照ください。

わたしは日本大学の卒業生でもなんでもありませんが、外部専門家として招かれ、「国内版クレジット制度における再生可能エネルギープロジェクトの事例と課題」を短時間、講演しました。

この2日間のシンポジウムでくっきりと浮かびあがってきたのは、いまのわが国にとっての「課題」は、技術的なものよりも、むしろ「社会的」「制度的」「政策的」なものである、ということです。

半導体開発、液晶、太陽光利用、地熱、・・・どの分野をとっても、日本が先鞭をつけ、世界をリードする可能性があったにもかかわらず、追い上げられ、追いつかれ、追い抜かれてしまったのはなぜでしょうか。

政権政党の未熟さ、過度な規制行政、法律の不備、国益より省益優先の縦割り行政、各業界の既得権益体質・・・。

これらの社会的課題が解決されないために、日本の技術力を活かすことができていない現状は、まったく「残念無念」としか言いようがないという思いを会場全員が共有したことでした。

大阪市長ではありませんが、第3の維新を起こさないと、このままでは、このニッポンという、世界にふたつとない、すばらしい国の沈没を招きかねない、という危機感を強く持ったシンポジウムでした。
(大阪市長のブレーンとして著名な原英史氏も「原子力と電力供給体制改革への課題と展望」を講演されました)。

これだけの有意義な内容のシンポジウムが、単に、大学の内部行事で終わってしまうのは、いかにも残念です。

最近急速に発展しているソーシャルメディアあたりを活用して情報発信し、世間に広く、問題提起してほしいものです。

新ISO規格「持続可能なイベントマネジメント」

夕食時に、おいしいシャブリの白ワインを楽しみました。ここは中部フランスの小さなシャブリ村の街かどです。田舎町ですが、なんともおしゃれな街並みでした。

本サイトのコラムニスト中西さんから、昨日の第3回神奈川カーボンオフセット推進協議会セミナーの報告がありました。

今回はわたしも登板し、カーボン・ニュートラル認証制度について講演しました。

その中で、「持続可能なイベントマネジメントシステム」という新しいISO規格(ISO20121)を少し紹介しました。

この規格は、ロンドンオリンピック開催が決まったのを契機に、英国で作られた国内規格(BS8901::2007、改訂2009)を国際規格化するため、現在ISO内部で検討作業が進んでいるもので、オリンピックやワールドカップのような超大規模イベントから、通常のイベントまで、環境面・社会面・経済面で持続可能にしようという発想の、イベント主催者のためのセクター(=業種別)規格です。

ことし6月にはISO規格として発行される予定で、ロンドンオリンピックが適用第1号になる見込です。

巨大イベントが丸ごと、カーボンニュートラル(=CO2排出ゼロ)になるのは世界初の取組で、大いに注目されます。

東京都も、誘致の条件として、環境オリンピックをうたっていますが、オリンピック開催を契機に、形のない国際標準というソフトウエアで主導権を握ろうという英国の発想と、国際戦略の巧妙さには舌を巻きます。

我々日本人も、世界に通用するソフトウエアを開発したいものですね。

省エネ法改悪への懸念

セブ島のセミナー会場は、トロピカルムード満点

◆昼間が32℃という、熱帯のフィリピンから、厳寒の日本に戻り、ひどく風邪をこじらせました。それでも、予定通り東京出張はこなしましたが、仙台出張は、さすがに思いとどまりました。

◆1週間ぶりに回復し、まとめて、ブログを読んでいます。国家予算のありかたをめぐる中西さんと太郎さんの意見交流、ずっしりと読み応えがありますね。

◆このブログの運営責任者として、このような真正面からの意見交流は、望むところで、わくわくしています。もっといろいろな立場のかたがたからの意見を書き込んでほしいものです。

◆桃井さんのブログも、見逃せない話題です。企業の負担軽減といいながら、実は省エネの潮流を逆流させるような政府の試案です。

◆省エネ法といえば、アジア近隣諸国では、日本の省エネ法を1つのモデルに、次々と自国の事情に合った省エネ法が制定されつつあります。

◆昨年2月に省エネ支援で訪問したベトナムは、1月1日付で新省エネ法が公布され、目下、その肉付け作業が急がれているようです。

◆今回訪問したフィリピンでも、20年前の旧省エネ法にかわって、来年制定に向けて、新省エネ法の検討が始まったと聞きました。

◆中国やタイ国では、すでに数年前に省エネ法が施行されているそうです。

◆日本の省エネ法は、オイルショック後に制定され、トップランナー方式や、一定規模以上のエネルギーを消費する企業の報告義務制度など、独自の考え方を盛り込んだ法律で、日本が世界有数の省エネ大国になるうえで、一定の成果をあげてきたことは間違いない事実です。

◆ただし、日本社会の自由度を制約している、牢固とした「縦割り行政」を、省エネ法もしっかりと反映しています。

◆経済産業省の資源エネルギー庁管轄のこの法律は、あくまでも産業政策の一環として制定され維持されてきました。

◆環境配慮や環境教育、自然エネルギー振興といった21世紀型政策とは一線を画するもので、いわば時代遅れの視野の狭い法律と言えます。その意味では全面見直しが必要な段階に来ていることは確かですが、今回の試案のような逆コースの改悪案には、とうてい賛成することができません。

◆ベトナムの省エネ法は、省庁横断的な法律の構成になっており、省エネの数値目標はもとより、交通、家庭や学校における省エネまでしっかりと目配りしています。先輩の日本の省エネ法の問題点を学習し、「他山の石」にしたのでしょうか?

◆むしろ、これからは、アジア近隣諸国の先進的な省エネ法に、日本も謙虚に学ぶ時代が来ているのでは?






| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 最初 | next>>