いまさら聞けない!? 環境用語AtoZのブログ

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いまさら聞けない!? 環境用語AtoZさん
様々な場面で目にする環境用語。実は今一つ意味がわからない事がある・・ そんな時に役に立つ用語解説集です。
 辞書のような画一的な解説ではなく、わかりやすく、豊富な実例を含む用語解説を随時追加していきます。

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エネルギーハーベスティング技術
◆高速道路の橋の振動、機械等の振動、体温と室温の温度差、テレビや無線LANの電波など、私たちの身の周りで、利用されずに捨てられている小さなエネルギーを、落ち穂拾いのように拾い集めて発電しようというのが、エネルギーハーベスティング技術です。「環境発電技術」とも呼びます。

◆エネルギーハーベスティング技術は、太陽光や風力などのように大きな電力を生み出すことはできませんが、日常環境のいたるところに存在するが活用されていない希薄なエネルギー(携帯電話通信や放送の電磁波、照明の光、体温、人や橋梁の振動、車や機器の廃熱・排熱など)を『収穫』し、電気エネルギーに変換して利用する技術の総称です。


株式会社NTTデータ経営研究所HPから図版引用

◆エネルギーハーベスティング技術のメリットとして、電池や電力線が不要となるワイヤレス化、それにともなうトータルコストダウンが注目されています。

◆熱・振動・電磁波など、様々な形態で環境中に存在するエネルギーを電力に変換できるするエネルギーハーベスティング技術は、充電・取り替え・燃料補給なしで長期間エネルギー供給が可能な電源として、「いつでも、どこでも、誰でも、何でも」ネットワークにつながるユビキタスネット社会や、モノのインターネット(Internet of things)の実現に必須の技術になると考えられています。

モノのインターネットについては、次回解説します。

◆いま日本が向かおうとしている、世界最先端の低炭素社会の実現に向けて、スマートグリッドや物流管理をはじめとする各種環境情報の計測・可視化や省エネ制御のための環境埋め込み型センサーネットの電源への適用が期待されています。

◆下の写真は、コマツの子会社のKELK(平塚市)が2009年から販売している、世界最高効率の熱電発電モジュールです。

熱電発電は、次世代の再生可能エネルギーとして、近年注目を集めています。この技術により、工場や発電所、焼却炉などで、これまで排出されてきた大量の廃熱を電気エネルギーとして回収することが可能で、特に定常的に排出される工場廃熱を利用すれば、太陽光発電よりも安価な再生エネルギーとなる可能性があります。今後、さまざまな分野で実用化されることにより、地球温暖化の原因となるCO2削減に効果を発揮するものと期待されます。


株式会社KELK HPから写真引用

◆さらに、自動車の安全性や燃費向上のためのタイヤ空気圧センサー(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)用電源、ウェアラブル機器の電源、医療用途の機器やコンタクトレンズ型センサーの電源など、安心・安全な社会の実現に向けて様々な応用展開が考えられている画期的な技術です。

◆海外メーカーは圧電あるいは電磁誘導エネルギーをセンサや照明スイッチの電源として利用した製品で既に商業的に成功しつつあるようですが、日本メーカーは発電デバイスの研究開発が主となっており、環境発電の事業化ベースでは、10年遅れているとも指摘されています。

◆この遅れを取り返すため、2010年5月に、40社を超す企業で、「エネルギーハーベスティングコンソーシアム」が設立され、環境発電事業の立上げ支援を進めています。

◆沈みつつある日本を再浮上させるためにも、モノづくり日本の総力を結集したこの動きに注目し、期待しましょう。

参考情報:



環境から電力を生成するハーベスタ(発電素子)の種類 太陽光や振動、熱、電磁波など、われわれの周囲の環境には、普段意識されていないが、さまざまなエネルギー源が存在している。

EE Times Japan HPから図版引用

http://eetimes.jp/ee/articles/1202/24/news070.html


地熱発電(Geothermal power)
◆一般に地熱発電(Geothermal power)は、地熱(主に火山活動による)を用いて行う発電のことで、温度が150℃以上の地下からの蒸気でタービンを回して発電します。

◆現在のところ、日本において地熱発電の総容量は、およそ535MW(53万キロワット)で、2010年段階で世界第8位ですが、地熱発電に関わる技術は高く、140MWと1基としては世界最大出力の地熱発電プラント(ナ・アワ・プルア地熱発電所)を富士電機システムズがニュージーランドに納入するなど、富士電機、東芝、三菱重工の日本企業3社が世界の地熱発電設備容量の70%のプラントを供給しています。

◆九州電力の八丁原発電所では、イスラエルのオーマット社製のペンタンを利用した発電設備が採用されています。発電設備1基あたりの能力は、2000kW(BWR-4型原発のおよそ400分の1の定格で一般家庭に換算して数百世帯から数千世帯分の需要を賄う)で、設置スペースは幅16メートル、奥行き24メートルと、コンビニエンスストア程度の敷地内に発電設備が設置されています。燃料が要らない地熱発電のメリットが減価償却の進行を助けたことにより、7円/kWhの発電コストを実現しているとのことです。


地熱バイナリー発電のイメージ図
西日本環境エネルギー株式会社ホームページから引用

◆地熱発電は石油などの化石燃料を使わないクリーンエネルギーであり、日本では約5%しか自給できない天然ガスにも匹敵する貴重なエネルギーを国産で採掘できることから、原油価格やウラン等の核燃料価格の変動リスクがない国産エネルギーとして、見直しが進められています。

もっと温度の低い蒸気でも発電できるように,80~150℃の蒸気や熱水を熱源として、ペンタンやアンモニア、フロンなど、低沸点の媒体(=低沸点流体)を加熱・蒸発させて、その蒸気でタービンを回し発電します。

2つの媒体(水と低沸点媒体)を利用することから、この方式をバイナリーサイクルと呼びます。
通常の蒸気発電に使われる地熱より低い温度、または、小規模な蒸気・熱水が利用可能で、温泉井に適用できる可能性があります。

◆温泉発電(温泉水温度差発電)
直接入浴に利用するには高温すぎる温泉(例えば70~120℃)の熱を50℃程度の温度に下げる際、余剰の熱エネルギーを利用して発電する方式です。熱交換には、バイナリーサイクル式が採用されます。

◆発電能力は小さいものの、施設が比較的小規模で済み、熱水の熱交換利用するだけなので、既存の温泉の源泉の湯温調節設備(温泉発電)として設置した場合は、源泉の枯渇問題や、有毒物による汚染問題、熱汚染問題とは無関係に発電可能な方式です。

地下に井戸を掘るなどの工事は不要であり、地熱発電ができない温泉地でも適応可能であるなどの利点があります。新聞報道によれば、日本国内にはバイナリー発電に適した地域が多く、全国に普及すれば原子力発電所8基に相当する電力を恒久的に賄うことが可能という見方があるようです。

◆新潟県十日町市松之山温泉で、温泉発電の実用運転が始まりました。
環境省の地球温暖化対策技術開発等事業(競争的資金)として、2010年度から3カ年の予定で、「温泉発電システムの開発と実証」を実施しています(受託者:地熱技術開発株式会社、共同研究者:国立大学法人弘前大学及び独立行政法人産業技術総合研究所)。

◆湧出温度約70~120℃の高温温泉では、大気中に熱を放散させる等により温度を低下させてから浴用等に利用される事例も多くみられます。温泉発電は、この温度差エネルギーを有効活用して発電を行うものです。

◆100℃以下の温泉熱を利用するバイナリー発電システムとしては、国内初の実用レベルの試験運転となります。発電した電力は、東北電力株式会社を通じて近隣地域へ供給されます。

実証施設の概要
 ・定格出力:87kW
  (年間発電量は一般家庭100世帯分程度の使用電力量に相当)
 ・機器寸法:3.2m×3.6m×5.5m(発電ユニットの幅×奥行×高さ)
 ・使用媒体:アンモニア-水混合媒体
 ・使用熱源:温泉(泉温97℃)
 ・試験運転期間:2011年12月16日から約1年間(予定)


松之山温泉 温泉発電施設の外観
新潟県ホームページから引用

C&T(キャップアンドトレード)

◆温室効果ガスなどの有害物質を効果的に減らすための経済的手法として、約40年まえにカナダで考え出されたのが「排出量取引」という仕組みです。米国が「1990年改正大気浄化法」で、汚染物質排出規制、汚染物質発生源対策、自動車燃料規制などと併せて、酸性雨対策のために発電所を対象に導入した「排出許可証取引」が世界初の排出量取引の実施例になります。



◆これは、1970年代から大きな社会問題となった酸性雨対策のため、その原因物質である二酸化硫黄の排出量に上限値(1980年レベルの50%)を設定した排出量取引で、1995年から実施され、一定の効果を上げたと、米国では考えられています。

◆この成功体験を踏まえ、COP3京都会議で米国が強く導入を主張したのが、排出量取引です。EUは当初、その意義がよく理解できなかったようですが、会議途中で、その経済効果の巨大さに気付き、にわかに導入に熱心になったという経緯があります。

◆当時の国会議員たち(というよりも私たち日本国民)は、結局、排出量取引のメリットもデメリットも十分に理解しないままに安易に国会で2002年5月に京都議定書を批准してしまい、今日に至るわけです。

COP17で、日本が第2約束期間への参加を拒んだことは、それなりに評価できますが、当時、日本国が自主的な判断で京都議定書の削減義務を引き受けた以上、いまさら京都議定書が日本にとって不平等条約、などと不満をいうことはナンセンスと言わざるを得ません。

※批准(RATIFICATION)とは:国際条約や国同士の協定を最終的に国として確認し、受け入れに同意する行為で、批准するべきか否かは、国会が決議します。京都議定書の場合も、米国では政府からの提案を議会が批准しなかったため、不参加という結果になりました。

◆いま話題のTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)も、枠組みの議論にいまから参加しておいて日本の意思を明確にし、国会で批准する段階で議論を尽くすべきでしょう。その時点で国益に反する枠組みと判断すれば、国会が批准を拒めばよいだけの話です。TPPが京都議定書の轍を踏まないよう、切に願っています。

◆ところで排出量取引には、大きく分けて「キャップ・アンド・トレード(C&T)」と「ベースライン・アンド・クレジット(B&C)」と呼ばれる、2つの方式があります。

◆このうち、キャップ&トレードとは、国や企業に対して、あらかじめ温室効果ガスの排出量上限値(=キャップ)を設定し、キャップ以上に超過達成できた場合に、達成できなかった国や企業に対して、超過達成分を自由に売買(トレード)することを認める仕組みです。CAPとは、野球帽のような「帽子」のことです。

◆温室効果ガスの排出量を対象部門ごとに制限でき、費用対効果も高いと考えられるため、EUはじめ、世界各国で導入されています。日本では、環境省が2005年度に開始した「自主参加型国内排出量取引制度(JVETS)」がキャップ・アンド・トレードに該当します。2008年から始まった「国内クレジット制度」は、参加企業に強制キャップをかぶせる制度ではないため、「ベースライン・アンド・クレジット(B&C)」に該当します。国内クレジット制度が参考にした京都メカニズムの1つ、CDM(クリーン開発メカニズム)も、B&C制度です。

◆2009年に開始された東京都の環境確保条例に基づく排出量取引制度は、対象事業所に排出量上限値を設定し、達成の手段としてクレジット取引を認めているため、日本で最初の本格的なC&T制度になります。

◆キャップ・アンド・トレード方式では、排出枠の交付方法(割り当て方)に3つの方法があります。
1つは、「グランドファザリング」で、過去の排出実績をもとに、排出枠を交付するやり方です。面白い名前ですね。これは、孫が祖父(グランドファーザー)の遺産を引き継ぐ、というイメージから名付けられたと聞いています。

◆もうひとつは「オークション」で、これは政府が排出枠を公開入札などで販売することです。
さらに、「ベンチマーク」という方式があります。これは、一定のエネルギー効率を前提として排出枠を設定する方法です。

◆グランドファザリングには、最初の排出枠獲得のためのコストがかからない、過去の実績から交付されるため獲得できる排出枠を予想しやすい、といった長所がある一方、過去の排出量把握のための行政コストがかかります。

◆他方、オークションでは、獲得機会の公平性、透明性が確保できるという長所がありますが、最初の排出枠獲得のためにコストがかかること、どの程度排出枠を確保できるか予想が困難であること、といった短所があります。

◆ベンチマーク方式は、公平性から見るとメリットがありそうですが、自動車や鉄鋼のように、はっきりと生産量あたりのエネルギー効率が算定できる特定の業種以外には適用困難という問題点が指摘されています。
どちらの方法も一長一短ありますが、実際にはこれらの方法を組み合わせて適用することになります。


◆3.11以降、日本では排出量取引をめぐる議論がすっかり下火になってしまいましたが、実際に近い将来、導入されるとしたら、C&T(大規模排出事業者対象)とB&C(中小事業者対象)の組み合わせという、世界でも類例のないハイブリッド方式(環境取引)をJCTXでは提唱しています。

※環境取引は、JCTXの登録商標です。無断使用を固くお断りします。

 

G:GHG(温室効果ガス)

◆温室効果ガス(GHG:Greenhouse Gas)とは、大気圏にあって、地表から放射された赤外線の一部を吸収することにより温室効果をもたらす気体の総称です。

◆地球の大気には、二酸化炭素などの温室効果ガスと呼ばれる気体がわずかに含まれています。これらの気体は赤外線を吸収し、再び放出する性質があります。この性質のため、太陽からの光で暖められた地球の表面から地球の外に向かう赤外線の多くが、熱として大気に蓄積され、再び地球の表面に戻ってきます。この戻ってきた赤外線が、地球の表面付近の大気を暖めます。これを温室効果と呼びます。

◆温室効果が無い場合の地球の表面の温度は、氷点下19℃と見積もられていますが、温室効果のために世界の平均気温はおよそ14℃と推定されています。大気中の温室効果ガスが増えると温室効果が強まり、地球の表面の気温が高くなります(気象庁ホームページから)。

◆最新のIPCC第4次評価報告書では、人為的に排出されている温室効果ガスの中では二酸化炭素の影響量が最も大きいと見積もられています。約200年前の産業革命以降、温室効果ガスの大気中の濃度が人間活動により上昇し、「温室効果」が加速され、地球規模の気候変動が引き起こされていると考えられます。

◆京都議定書では、年間排出量を定量的に把握されている温室効果ガスとして、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、亜酸化窒素(N2O)(=一酸化二窒素)、ハイドロフルオロカーボン類(HFCs)、パーフルオロカーボン類(PFCs)、六フッ化硫黄(SF6)の6種類を指定しています。

◆この「京都6ガス」以外の温室効果ガスのうち、オゾン層破壊効果とともに温室効果をもたらすガスは、京都議定書採択に先だって1989年に発効した「モントリオール議定書(Montreal Protocol on Substances that Deplete the Ozone Layer)」の規制対象になっているため、京都議定書の規制対象からは、外されています。

◆モントリオール議定書で国際合意されたことにより、特定フロン、ハロン、四塩化炭素などは、先進国では1996年までに全廃(開発途上国は2015年まで)、その他の代替フロンも先進国は、2020年までに全廃(開発途上国は原則的に2030年まで)することが決定されました。
日本ではすでに1988年に、「オゾン層保護法」を制定し、フロン類の生産及び輸入の規制を率先して行なっています。

◆水蒸気も大きな温室効果があります。蒸発と降雨を通じて宇宙空間へ向かって熱を搬出する働きも同時に有しますが、全体的には上記のような温室効果ガスが気候変動の引き金となり、水蒸気はその効果を増幅すると考えられます。

◆地球温暖化係数とは、二酸化炭素を基準に、その気体の大気中における濃度あたりの温室効果の100年間の強さを比較して表したものです。日本では「温暖化対策法」の別表で次のように係数が示されています。

地球温暖化係数(=GWP)
1 二酸化炭素 1
2 メタン 21
3 一酸化二窒素(亜酸化窒素) 310
4 トリフルオロメタン 11,700
5 ジフルオロメタン 650
6 フルオロメタン 150
7 1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタン 2,800
8 1,1,2,2-テトラフルオロエタン 1,000
9 1,1,1,2-テトラフルオロエタン 1,300
10 1,1,2-トリフルオロエタン 300
11 1,1,1-トリフルオロエタン 3,800
12 1,1-ジフルオロエタン 140
13 1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン 2,900
14 1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン 6,300
15 1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン 560
16 1,1,1,2,3,4,4,5,5,5,-デカフルオロペンタン 1,300
17 パーフルオロメタン 6,500
18 パーフルオロエタン 9,200
19 パーフルオロプロパン 7,000
20 パーフルオロブタン 7,000
21 パーフルオロシクロブタン 8,700
22 パーフルオロペンタン 7,500
23 パーフルオロヘキサン 7,400
24 六フッ化硫黄 23,900
25 1,1,1,3,3 - ペンタフルオロブタン 910

参考情報:
気象庁HP
http://www.data.kishou.go.jp/obs-env/portal/chishiki_ondanka/p03.html


温室効果の模式図
気象庁ホームページから引用

L:LMOとGMO
LMO( Living Modified Organism)とは、遺伝子組換え生物等を示す国際共通用語です。

◆このLMOの国境を越える移動に関する手続き等を定めた国際的な枠組みが「カタルヘナ議定書」です。正式には「バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書」といいます。2003年9月に発効し、2010年2月現在、157の国及び地域が批准・締結しています。

◆1995年に開催された生物多様性条約第2回締約国会議で議定書の検討を行うことが合意され、1999年コロンビアのカルタヘナで開催された特別締約国会議で議定書の内容が討議されたのち、翌2000年に再開された会議で採択されました。

◆日本は議定書を国内で実施するため、2003年6月に「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(カルタヘナ法)を制定しました。

◆議定書は、LMOの輸出入(人間用の医薬品を除く)に当たり、
(1)栽培用種子など環境中に意図的に放出されるものについては、事前に輸入国に通報し、輸入国の合意が必要、
(2)食用・飼料用・加工用の穀物等については、そのLMOの国内利用について最終的な決定を行った締約国はバイオセーフティに関する情報交換センター(BCH)を通じてその決定を他の締約国に通報し、輸入国は自国の国内規制の枠組みに従い輸入について決定することができること、などを主な内容としています。

カルタヘナ議定書の規制対象となるLMOは,
次の3つに分類されます。
(1)意図的に環境へ導入するLMO(例:農地栽培用の遺伝子組み換え種苗)
(2)食料、飼料用、加工用にするLMO(例:遺伝子組み換え植物(食用、飼料用、加工用))
(3)封じ込めて利用するLMO(例:工場等閉鎖的環境のみで使用される遺伝子組み換え微生物)
この分類にしたがって、それぞれ異なる手続きが適用されます。なお、人間用の医薬品で、
ほかの国際協定や国際機関が取り扱っているLMOについては、本議定書の対照から除外されています。

※ LMOとGMO:カルタヘナ議定書の規制対象である遺伝子組み換え生物(LMO)はカルタヘナ議定書第3条g項において「現代のバイオテクノロジーの利用によって得られる遺伝素材の新たな組み合わせを持つ生物」であると定義されています。
日常的に広く用いられているGMO( Genetically Modified Organism)という用語を用いていないのは、GMOの定義があいまいであり、もっと明確な定義づけが必要であると考えられたためです。
実際にはカルタヘナ議定書採択後、非公式の場では、LMOとGMOが類似語として用いられていることが少なくありません。
ただし、LMOは「生物」であること、すなわち、「生きていること」が条件になります。
たとえば遺伝子組み換えダイズはLMOですが、遺伝子組み換えダイズを用いた醤油はLMOには該当しません。

◆このテーマは、いま日本で世論を分断しているTTPと農業保護、食料自給の議論にも関係するため、よく勉強していきたいものです。

参考情報:
外務省HP

農水省HP
K:京都議定書

◆京都議定書は、199712月に京都で開催された「気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)」において採択されました。



この京都議定書は、削減する温室効果ガスとして、二酸化炭素(
CO2)、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)、HFCsPFCsSF6の6種類を指定しています。さらに、先進国などの温室効果ガス排出量について、法的拘束力のある数値目標を設定しています。温室効果ガス削減目標が課せられている国(附属書Ⅰ国と言います)は主に先進国ですが、ロシア・東欧等(市場経済移行国)を含めています。

 

◆附属書Ⅰ国の数値目標(総排出枠)は、20082012年の5年間(第1約束期間)に対して適用します。基準年排出量は1990年の温室効果ガスの排出量(HFCsPFCsSF6については1995年の排出量としてもよい)となっていますが、市場経済移行国の二酸化炭素等の排出量については1990年以外の年を基準年としてもよいことになっています。たとえば、先進国は、基準年排出量と比べて、EUは-8%、米国は-7%、日本は-6%が設定されています。



◆基準年排出量と数値目標から、「初期割当量」を計算します。また、国内における植林等の吸収源活動による二酸化炭素の吸収増大量については、排出枠として初期割当量に加えることが可能となっています。

 附属書Ⅰ国の数値目標を達成するための補足的な仕組みとして、市場原理を活用する京都メカニズムを導入しており、それには三種類あります。

共同実施(JIJoint Implementation<京都議定書第6>

クリーン開発メカニズム(CDMClean Development Mechanism<京都議定書第12>

国際排出量取引(International Emissions Trading<京都議定書第17>

 

◆国だけでなく、事業者も京都メカニズムに参加することが可能ですが、参加するためには、京都メカニズムへの参加資格を満たすことが必要です。

 

◆我が国の地球温暖化対策推進法は、京都議定書の目標達成計画を策定するとともに、温室効果ガス排出抑制等を促進するための措置を講じるために、1998年に制定されました。

 

◆京都議定書達成状況

すでに、第一約束期間に入っていますが、2008年度の温室効果ガス総排出量は128200万トンで基準年の1990年より1.6%も多く排出しました。 2009年度の温室効果ガス総排出量は12900万トンで基準年の1990年より4.1%少なくなりましたが、まだ、目標の6%削減には届いていません。 これに対して、日本政府は、森林吸収効果で3.8%、京都メカニズムによる削減で1.6%を見込んでおり、目標を達成しようとしています。

 

◆原発停止により目標達成が危ぶまれる

しかし、大震災の影響で福島第一原発など多くの原発が停止に追い込まれ、電力不足を補うため、石油やLNGなどで火力発電所をフル稼働させた結果CO2排出量が大きく増加することが見込まれています。目標達成が困難になり、日本政府は目標達成義務の免除などの特別措置を国連に対して求める可能性も否定できません。

 

◆京都議定書以降の削減の枠組み(ポスト京都議定書)

京都議定書の第一約束期間が2012年に終了するため、それ以降の温室効果削減目標について、現在、条約批准国で話し合いが行われています。

2009年末にはデンマーク・コペンハーゲンで会議(COP15)が開かれポスト京都議定書についての枠組みの合意は採択されず、「留意される」となりました。その結果、20101月末までに先進国は2020年までの排出削減目標を、途上国は緩和行動を自主的に策定し、同合意の別表への記載・登録を求めることになりました。我が国は、25%削減目標を提出しました。

 

◆続いて、2010年末には、メキシコ・カンクン(COP16)では、京都議定書を批准していない米国や中国など途上国も含めた削減努力目標が正式に留意されることになりました。法的拘束力がなくても、実効性と透明性を確保するための温室効果ガスのMRV(測定・報告・検証)などの仕組みが決まりました。また、資金援助(緑の気候基金等)など途上国支援の仕組みの概要が明らかになりました。

 

COP17:ポスト京都議定書の枠組みの決定へ

リオサミットで気候変動枠組み条約が締結された1992年からすでに、20年近くが立ってしまいました。しかし、以上のように、温室効果ガス削減は、各国の利害が複雑に絡み合った結果、目標を設定された国の排出量が全体排出量の30%も満たない一方、米国・中国は二カ国合わせただけで40%以上にもなるのに、拘束力のある目標設定を拒否しているという矛盾が、ポスト議定書以降も継続される見込みです。しかし、この20年間、確実に温室効果ガスは増えているという事実だけは変わりません。

 

◆ポスト議定書の枠組みを決める会議(COP17)が、2011年末に南アフリカのダーバンで開かれます。私たちは、どんな枠組みで温暖化対策を続けていけるか、瀬戸際に立っています。


参考URL:京メカプラットフォーム
http://www.kyomecha.org/

タグ: 京都議定書
S:ソフトエネルギーパス

ソフト・エネルギー・パス

 

◆ソフトエネルギーパスと聞かれて、「あぁ」と思われた省エネのプロがいらっしゃるのではないでしょうか?

 

◆これは、英国の物理学者エイモリー・ロビンズが、1976年に提唱したエネルギーの需要と供給に関する考え方です。



彼は、次のような主張をしました。

1.エネルギーの需要の質と量をまず検討し、その利用効率を高めるようにエネルギー供給方法を決める。

2.そのためには、化石燃料の効率的な利用(省エネ)、再生可能エネルギーの需要地点での利用(新エネ)を組み合わせることが必要となる。

 

これに対して、原子力・化石燃料を中心とするハード・エネルギー・パスは、核拡散の危険、廃棄物処理、集中管理的社会指向の危険性があると、ロビンズは主張しています。

 

1979年、同タイトルの*書籍が日本語に翻訳・出版され、彼自身も、環境NGO“地球の友”の招請で、来日して講演会を開いています。当時、スリーマイルアイランド原発の事故があったこともあり、日本でも一時期、彼の考え方は一世を風靡しました。

*室田康弘・槌屋治紀訳『ソフト・エネルギー・パス』時事通信社、



 
しかし、残念ながら、日本は、ロビンズが言う「ハード・エネルギー・パス」を選んでしまい、3.11の大事故を迎えることになってしまいました。

 

◆ロビンズは、もともと物理学者だったのですが、今は、アメリカのコロラド州に、ロッキーマウンテン研究所を作り、そのCEOとして活躍しています。その研究所では、ソフトエネルギー・パスどおり、再生可能エネルギーや省エネにより、使用するエネルギーを生み出しています。超断熱仕様の外壁、太陽熱とその蓄熱システムなどが導入されています。

◆また、近著「スモール・イズ・プロフィタブル」(山藤泰訳、㈶省エネルギーセンター、
2005年)では、分散型エネルギーから利益を生むための207の手法を紹介しています。

 
                 ロッキーマウンテン研究所のHPから引用

◆私たちも、ロビンズが警告したハードエネルギー・パスを見直し、利益の出るソフトエネルギー・パスを作りだすときが来たと言えるでしょう。

 
参考情報
ロッキーマウンテン研究所
                              

http://www.rmi.org/
E:EMS(環境マネジメントシステム)

◆EMSとは:
環境マネジメントシステム(Environmental Management System、EMS)は、組織がその活動や製品・サービス等を通じて、環境に与えるリスクを低減させる取り組みのためのシステムです。

◆MSS(Management System Standard):
品質マネジメントシステム規格であるISO 9000ファミリーや、環境マネジメントシステム規格であるISO 14000シリーズに代表される、「組織が方針及び目標を定め、その目標を達成するためのシステム」に関する規格の総称です。

◆BS7750:
・現在のEMSの原型となったのが、英国の国内環境マネジメント規格の「BS7750」です。

欧米の企業では、従来からの社会監査の流れを汲んで、環境管理、環境監査についての取組みが1970年代から少しずつ始められました。この流れを踏まえて、いち早く、1992年1月にイギリス規格協会(BSI)が策定したのが、この規格で、環境マネジメントシステム規格の先駆けとなりました。

※わたくしごとですが、筆者にとって、この規格制定をBSIで担当した21名の専門委員のひとりから、英国で直接、BS7750の特別研修を受けた日々を特に懐かしく思い出します。

◆EMAS(イーマス):
EUでも、環境監査を中心に検討が進められていましたが、BS7750の影響を受け、1993年7月に、企業の自主的な取組みとしての「環境管理監査規則」(Eco-Management and Audit Scheme、EMAS)が策定され、1995年4月から運用が始まりました。

◆ISO14001制定の経緯:
・1991年に、BCSD(持続可能な発展のための経済人会議)は、EMSの標準化をISO(国際標準化機構)に要請しました。これを受けてISOは、最終的にISO14000シリーズまたはファミリーと呼ばれる一連の環境関連規格群を制定しました。

・このうち、環境マネジメントに関する規格が、ISO14001です(初版発行は1996年9月)。
この規格は、基本的にはBS7750を継承しつつ、Plan(計画)、Do(実施)、Check(点検)、Act(経営者による見直し)といういわゆるPDCAサイクルで組み立てられています。

◆PDCAサイクルとは:
環境リスクの低減のために組織は、
1.環境方針を定める= Plan
2 環境方針等に基づき、具体的な目的・目標を設定する
3 目的・目標達成のための計画を立案する
4 計画を実施する Do
5 実施計画を評価する Check
6 評価結果に基づき、新たな計画を策定する Act
(以前は、ACTIONと表記することが多かったのですが、いまはすべて動詞で統一するほうが一般的です)といったサイクルを機能させなければなりません。

※PDCAサイクルは、別項目で解説します。




◆EMS規格は、国内国外の規格が多数、存在します。例えば、
・ISO 14001:2004(改訂版)
・JIS Q 14001(ISO規格の発行に伴って発行された日本工業規格 )
・エコステージ
・エコアクション21
・KES(環境マネジメントシステム・スタンダード)
・みちのくEMS
・彩の国エコアップ宣言
・環境自治体スタンダード(LAS-E)
・MIEMS(三重県版環境マネジメントシステム・スタンダード)

◆ISOとは:
・ISO(International Organization for Standardization)は、第2次世界大戦中に、連合国内部で結成準備が始まり、終戦直後の1947年に設立された、非政府組織です。敗戦国の日本はしばらく加盟が承認されず、1952年に加盟が認められました。現在は、
永久理事国となっています。


・当初は工業部品や計測機器の国際標準化が主たる目的でしたが、10年以上前から、経営の仕組みを標準化する「マネジメントシステム」規格がだんだん整備されてきました。

・ISOへの登録は一国一機関が原則で、日本は「日本工業標準調査会」が登録されています。
ISOで発行された規格や基準、技術指針は、そのまま各国で翻訳され、国内規格として制定されるのが、一般的になっています。

◆ISO 50001:
・新しいMSSとして、ISO 50001規格が最近、発行されました。
EnMS(Energy Management System)と呼ばれることがあります。

・これは、組織内で、エネルギー方針及びエネルギー目的を確立する、相互に関連した、又は相互に作用する要素の集合、並びにそれらの目的を達成するためのプロセス及び手順、と定義されています。

・日本の省エネ法の要求事項ともダブる部分もありますが、この規格を活用することにより、組織はPDCAサイクルを通じてエネルギー管理を行い、エネルギー使用の効率化やエネルギーコストの削減ができます。

※ISO 50001については、別項目で解説します。 

G:GHG(温室効果ガス)

温室効果ガス(Greenhouse Gas, GHG)とは、大気圏にあって、地表から放射された赤外線の一部を吸収することにより温室効果をもたらす気体の総称です。

気象庁HPより引用:
http://www.data.kishou.go.jp/obsenv/portal/chishiki_ondanka/p03.html

GHGは、温室のように地球を快適な気温に保つ働きをします。しかし、近年、大気中の濃度を増しているものもあり、気候変動の原因になっているとされています。

◆GHGは、京都議定書における排出量削減対象となっています。環境省において年間排出量などが把握されている物質としては、いわゆる京都6ガス、すなわち、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、亜酸化窒素(N2O)(=一酸化二窒素)、ハイドロフルオロカーボン類(HFCs)、パーフルオロカーボン類(PFCs)、六フッ化硫黄(SF6)の6種類があります。

◆温暖化とCO2濃度との因果関係への懐疑論もありますが、IPCC第4次評価報告書では、人為的に排出されている温室効果ガスの中ではCO2の影響量が最も大きいと見積もられています。

◆近年の地球環境の異変は、人為的なGHG排出より、むしろ、太陽の黒点の変化による宇宙線強度の変化と地球表面の雲の増減による日照の変化(氷河期はこれが原因とされています)、水蒸気の存在なども大きく関与しているとする説も有力です。

◆そのうち、水蒸気については、もちろん温室効果を有するものの、蒸発と降雨を通じて、熱を宇宙空間へ搬送する働きも同時にありますので、全体的にはGHGが気候変動の引き金となり、水蒸気はその効果を増幅すると考えるほうが妥当でしょう。

◆宇宙線強度と雲の生成、日射量の変化の因果関係については、今後の一層の研究が待たれるところです。

◆近年のGHGの濃度は、産業革命以前は、CO2が280ppm、メタンが0.70ppm、一酸化二窒素が0.275ppm程度でした。しかし、それ以降、急激に増加し、2008年の段階でCO2が385ppm、メタンが1.79ppm、一酸化二窒素が0.32ppm程度にまで急増しています。

◆なお、PPMは、Parts per million の略で、100万分の1をあらわし、大気の場合は体積比による濃度を示す単位です。CO2濃度が385ppmとは、大気1㎥中に、CO2が385ml含まれていることになります。

◆GHGのうち、フロンガスには複数の種類があり、
・オゾン層を破損する特定フロン(CFC:クロロフルオロカーボン)、
・オゾン層破壊性の小さい代替フロン(HCFC)、
・オゾン層破壊性のない代替フロン(HFC)
に分けることができます。

◆CO2を基準に、その気体の大気中における濃度あたりの温室効果の100年間の強さを、その持続時間も加味したうえで、CO2の効果に対して相対的に示す指標を、「地球温暖化係数(Global Warming Potential,GWP)といいます。たとえばメタンガスは、CO2の21倍の温室効果があります。

◆日本では、地球温暖化対策の推進に関する法律施行令(平成11年4月7日政令第143号)第4条に、次の24種の気体の地球温暖化係数が記載されています。

(1)  二酸化炭素 1
(2)  メタン 21
(3)  一酸化二窒素 310
(4)  トリフルオロメタン 1万1700
(5)  ジフルオロメタン 650
(6)  フルオロメタン 150
(7)  1.1・1.2・2―ペンタフルオロエタン 2800
(8)  1.1・2.2―テトラフルオロエタン 1000
(9)  1.1・1.2―テトラフルオロエタン 1300
(10)  1.1・2―トリフルオロエタン 300
(11)  1.1・1―トリフルオロエタン 3800
(12)  1.1―ジフルオロエタン 140
(13)  1.1・1.2・3.3・3―ヘプタフルオロプロパン 2900
(14)  1.1・1.3・3.3―ヘキサフルオロプロパン 6300
(15)  1.1・2.2・3―ペンタフルオロプロパン 560
(16)  1.1・1.2・3.4・4.5・5.5―デカフルオロペンタン 1300
(17)  パーフルオロメタン 6500
(18)  パーフルオロエタン 9200
(19)  パーフルオロプロパン 7000
(20)  パーフルオロブタン 7000
(21)  パーフルオロシクロブタン 8700
(22)  パーフルオロペンタン 7500
(23)  パーフルオロヘキサン 7400
(24)  六ふっ化硫黄 2万3900

S:スコープ3

新聞紙面で「スコープ3」という用語を見かけるようになりました。最初に、こうした考え方が浮上してきた背景をちょっと解説しておきましょう。

◆スコープSCOPEとは、適用範囲といった意味で、企業がみずからの事業活動に伴う温室効果ガスの排出量を算定する場合の、範囲をどこまでカバーするか、ということです。

◆サプライチェーン・マネジメント(SCM)の手法が環境分野にも広がってきています。
今回の大震災でも、東北の自動車部品製造工場が被災したため、自動車が生産できなくなる事態が相次ぎました。国境をまたいで世界がつながっていることを、図らずも認識させられました。

◆この企業同士のつながりが、部品だけでなく、環境面でもつなげて考えようという機運が盛り上がっています。

◆世界的には事業者のサプライチェーン排出量の算定・報告に関する基準化や情報開示等について、次のような動きがあります。
・GHG プロトコルによる基準の策定
・ISO による算定ガイドラインの検討
・CDP 等による開示要求の高まり

◆GHG プロトコルでは、企業のバリューチェーンにおける排出量の算定や報告の方法を示す
「GHG プロトコルSCOPE3算定報告基準(Corporate Value Chain (Scope3) Accounting and
Reporting Standard)」を策定中です。

◆GHGプロトコルは、米国の環境NGO 「世界資源研究所(World Resources Institute, WRI)」
及び「持続可能な発展のための世界経済人会議(World Business Council for Sustainable
Development, WBCSD)」を中心に世界中の事業者、行政組織、NGO、学術組織など様々な利害関係者が参加し、その合意に基づいてGHG の算定・報告基準を開発するためのプロセスです。

◆SCOPE3基準は、2008年から検討が開始され、ステークホルダーの意見聴取や、60 以上の企業が参加した試行テスト、ドラフト案に対するパブリックコメントなどを経て、ことし2011年秋に規格文書「スコープ3会計及び報告基準」が策定される予定です。

◆ISOでは、この考え方に呼応し、ISO/TR14069「温室効果ガス-組織のGHG 排出量の定量化及
び報告-ISO 14064-1 に対する技術的手引」の検討を行っています。このISO/TR14069 は、組
織の直接及び間接排出量の定量化、並びに報告方法に関する指針を示すものです。
 
◆現在、我が国では、地球温暖化対策として、地球温暖化対策の推進に関する法律に基づく温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度や一
部の地方公共団体の条例に基づく各制度等、一定の要件に該当する事業者が自らの温室効果ガス排出量を算定・報告し、国や地方公共団体がその排出量の公表等を行う制度が実施されています。

◆これらはいずれも、スコープ1(事業活動からの直接排出)・2(購入エネルギー等による間接排出)に基づく算定・報告がベースになっています。

◆また、各企業のCSR 報告書等における自主的な排出量の情報開示も進んできており、事業者自らの排出量の把握と排出削減の取組が拡大してきていますが、ほとんどの場合、スコープ1・2の情報開示にとどまっているのが現状です。

◆一方、現行の算定・報告・公表制度やCSR 報告書等において把握している排出量の範囲は、事業者自らの排出に留まっている場合が多いため、省エネルギー型の製品や温室効果ガス排出量の少ない製品の普及による削減貢献が、自社の排出量の評価に反映されないという指摘があります。

◆さらに、各事業者の事業活動は購入や販売を通じてサプライチェーンで繋がっており、そこには大きな削減ポテンシャルが存在する可能性がありますが、事業者自らの排出量の把握だけでは、削減ポテンシャルが明らかとならず、サプライチェーン・マネジメントによる排出削減行動のインセンティブが働かないとの指摘もあります。

◆こうしたことから、排出量の把握・管理に当たっては、自社の排出量だけではなく、サプライチェーンにおける温室効果ガス排出量についても把握することが重要となっています。

◆いずれにしても、サプライチェーン排出量の範囲は、事業者自らの排出量だけではなく、事業者の購入や販売等の事業活動に関係する全ての排出量となります。具体的には、事業者が購入する原材料・製品やサービスの製造・輸送に伴う排出量、事業者自らの排出活動に伴う排出量、さらに事業者が製造・販売した製品・サービスの流通・使用・廃棄などに伴う排出量が算定の対象となります。

◆これらの排出量をサプライチェーンの段階ごとに算定・把握することによって、サプライチェーンにお
いて排出量の大きな段階や、排出削減のポテンシャルが大きい段階が明らかになり、サプライチ
ェーン全体での事業者の効率的な削減対策を実施することができます。

◆また、サプライチェーン排出量の把握の過程で、サプライチェーンを構成する他の事業者へ情報提供等を働きかけることにより、他の事業者における理解が促進されることに加え、それらの事業者と連携を図ることにより、サプライチェーンを構成する事業者間で協力して温室効果ガス排出量の削減を進めることが重要です。

◆スコープ3として算定方法の規格化が検討されている温暖化ガスは、対象や範囲が次のように大幅に拡張されています。
(a)調達品に関するTier1サプライヤーから最上流のサプライヤーに至る全排出量
(b)固定資産に関わる排出量
(c)輸送(搬入側と搬出側の両方)に関する排出量
(d)出張旅行、従業員の通勤に関連する排出量
(e)廃棄物に関連する排出量
(f)フランチャイズ店の排出量
(g)リース品の排出量
(h)投資に関する排出量
(i)顧客による製品の使用に関する排出量
(j)顧客の使用済み段階での製品に関する排出量

※Tierとは、米国でよく見かける表現ですが、下請けの階層を示す用語です。Tier1は、1次下請けを示します。

◆ここまでくると、既に企業単体で把握できる範囲をはるかに超え、サプライチェーン全体を対象とした広範な情報収集が必要になってきますが、サプライチェーン全体の排出量を可視化し、自主的に公表することにより、サプライチェーンを構成する他の事業者をはじめ、ステークホルダーに対する説明責任を向上させることとなります。

◆企業には負担が増えることになりますが、国際化するビジネス環境のなか
で存続するには、避けて通ることができない道であることを認識すべきでしょう。

◆スコープ3が普及すると、日本企業の環境報告書やCSRレポートの在り方も大幅な見直しが必要になってきます。

◆これまで、英米主導で進んできたスコープ3ですが、ある意味では日本がこの分野の先進国でもあると思います。国際パブコメ募集の段階で、日本企業も政府も日本の主張を明確に発信してほしいところです。

※国際的な組織でスコープ3に踏み込む背景には、「カーボンリーケージ」問題がありますが、これについては別の機会に解説します。

参考情報:
http://www.ghgprotocol.org/
http://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/comm.html
http://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/com01/mat04.pdf

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